RiTurban‘sサイト解析ブログ

アクセス解析でできる7つのこと

2010年11月18日

アクセス解析にはたくさんの意味不明な数字が並んでいます。
見るだけで頭が痛いですね。

もしくは、頭は痛くないけど
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・調べるうちに、どんどんデータの深みにハマって気づけば8時間たっていた
・データを調べつくしたけど、改善案が浮かばない
・本に書いてある通りにやったけど、対策が全部網羅できているか不安
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という人はいませんか?

いったいアクセス解析とは、
どこまでデータを見るのが正解なのでしょうか?

これは僕が最近ハマっている知恵の輪のようなもので、
実は考えや目的なく読み込んでも、そのまま迷宮入りです。

例えばあなたが健康診断のデータを見る場合、
あなたはそれで何ができるか知っていますよね?
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悪いところがみつかる
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ことを知っています。


ではアクセス解析のデータを使ってできることは何でしょうか?
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・悪いところが見つかる
・導線を最適化できる
・集客の悪いところがみつかる
etc…
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実はこれらはレベル(切り口)の違う内容を考えています。

例えば、悪いところが見つかるというレベルには、
導線の悪いところを見つけるといった内容が含まれます。

しかし導線の最適化には導線の”よいところ”を見つける
という内容も含まれていますね。

ということで、この思考レベルがバラバラだと、
まったく部分的に限られたアクセス解析を行ってしまいます。

そうすると自分が何をやっているのかわからなくなり、
不安になりやすくなります。

僕が考えるには、
実はアクセス解析データには、
1+3+3=7つの使い道、つまりデータを見る大目的があります。

もし最初に、その数字の羅列から何ができるのか?
ということを知っていれば、迷うことが少なくなります。

ということで、今日は
アクセス解析データを使ってできる7つのこと、
というテーマでお伝えしたいと思います。
なお僕の考える7つの使い道は、ちょっと変わっているかも知れません。

普通「アクセス解析でできること」というと、
機能レベルで説明されることが多いです。

例えばアクセス解析を使って
・導線を最適化できる
・申し込みフォームを最適化できる
・ランディングページを最適化できる
etc…
などですね。

でもそうやってWEBサイトの機能に絞って分析を捉えてしまうと、
言葉を知らない人にはチンプンカンプンだし、
僕にとって分析の漏れが生じることも増えてきました。

例えていえば、健康診断のデータを見た時、
決まりきったように頭、手、足、と機能毎にデータをみていっても、
最後の最後で、発見できないデータなどが出てくると思います。

それは結局、分析の漏れに繋がるんですね。

だからもうちょっと全体的に捉えた方が(僕の場合)うまくいったということです。

ということで、僕はこれからご紹介する7つの目的を
大目的に据えてデータを分析するようにしています。

以下の分類で分けています。
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★アクセス解析でできる7つのこと

【基本調査系】・・・1つ
1.WEBサイトの概要を掴む

【分析系】・・・3つ
2.お宝を探す
3.損を少なくする
4.原因を追い詰める

【計測系】・・・3つ
5.サイトのパフォーマンスを管理する(いわゆるKPI管理)
6.検証をする
7.傾向・トレンドを把握する
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分析系って何?などそれぞれはこれから細かくご説明します。

この7つの使い道(≒目的)を常に意識していると、
数字の迷宮にはまらなくてすむので、僕は重宝しています。

もしあなたが
・何から分析していいかわからない
・途中でデータを見ている目的を見失う
という場合には参考にしてもらえるかも知れません。

では順にご説明しますね。


■基本調査系(1つ)

アクセス解析をする目的のトップバッターは
“基本調査系の目的”です。

基本調査系とは実は無理やりつけたような感じなのですが。。

要は、自分のWEBサイトを調査してそれなりに概要を把握し、
全体像を捉えるためのアクセス解析を指します。

この概要把握があって、はじめていろいろなことがわかってきますし、
これからご紹介する全ての解析の基本になってきます。

基本調査系には、以下1つの目的しかありません。


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1.WEBサイトの概要を掴む

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アクセス解析はサイトの健康診断ですから、
見ればあなたのWEBサイトの現状がよくわかります。

現状を知れば対策が浮かぶことが多いので、
ぜひ現状把握をしておきたいところです。

で、知識が深くなればなるほど、
当然、見える範囲も増えていきます。
(地域や・セグメントごとのデータなど)

でも最初から健康診断書のデータを全部見て、
人間ドックなみの判断をするのは大変だと思います。
プロでも、全部を見ていたら時間は足りません。

ということで要点をまず抑えることが重要です。

つまり、この目的でアクセス解析をする時は、
あくまで要点を把握することが大切で、
あまりそれ以外のデータに深入りしないことがポイントになります。

なぜなら細部を知ろうと思えば、いくらでも細かくデータを分析することができます。
しかしそれはこの項では本来の目的ではないのです。

言葉をかえると、頭を使わずデータを定型的に処理することが重要になります。

初心者の方にお伝えするとすれば、最も大切なのは
「アクセス数&キーワード」
です。

これは人間でいけば、
“体温”&”体重”
などの基本データにあたると思います。

ですので、毎月の単位でもいいので、
アクセス数とキーワードの一覧(上位50個くらい)は取得するようにしましょう。

でも、もう少し細かいデータを押さえておくと、
さらに深く状態を把握することができます。

実際はこの作業は、キリがないので、
殆どのプロはある程度作業をテンプレート化して
調べる箇所を決めていると思います。

但し基本調査事項が増えれば、もちろん
同じデータを用いて現状把握だけでなく分析に使えることもあります。

じゃぁ、丸山は何を見ているの?
というと、僕はAISAS理論を応用した形で現状を把握しているのですが、
それはまた次週以降でお話します。


■分析系(3つ)

分析系とは、サイト改善するためにデータを分析することを指します。

普通アクセス解析というと、この分析系をイメージします。
この目的でデータを見る時は、頭を使ってデータを調べていくことになります。

分析系には細かく分けて3つの目的があります。

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2.お宝を探す

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お宝探しとは、サイトの中の良いデータをピックアップすることです。

意外かも知れませんが、
アクセス解析の場合、悪いところを見つけるより、
良いところを見つける方が簡単です。

例えば、あなたのサイトで申し込んだ人が1人だけいるとします。

簡単なのはその人にインタビューをしてみてください。

あなたのサイトのよいところと悪いところを
いろいろ教えてくれるでしょう。
そのとおりに治すだけでも、反応があがることが多いです。

これと同じようなことをアクセス解析で行うには、
申し込んだ人(コンバージョンした人)だけをピックアップします。

GoogleAnalyticsでいけば、
右上のアドバンスセグメントの中に
「コンバージョンしたセッション」
というチェックボックスがあるので、そちらをONにします。

そうしていったいろいろデータを見ていくと、
様々なことに気づくでしょう。

キーワードや住んでいる地域など。

これらは全部お宝です。

こういった傾向の人をもっと集めることができれば、
さらに申込む人を増やすことができるでしょう。

つまり良いところにフォーカスすれば、
欠点を補ってくれるってわけです。

アクセス解析に慣れている人は、
データの分布をうまく視覚的に捉えればさらに宝が増えることでしょう。

僕はお宝探しに絞ってアクセス解析を行うということも、よくやります。

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3.損を少なくする

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これも一般的なアクセス解析の使い道です。

アクセス解析の本で紹介されているのは、
この切り口が多いです。

「1.WEBサイトの概要を掴む」を行った後、
実際は一緒に行うことも多いです。

これは例えていえば、
人間ドックで調べたデータ(1で調べたデータ)で、
悪いところも一緒に発見することに似ています。

しかし、人間ドックで定型的に調べるデータには限界もありますから、
明確に損を少なくしたくてデータを見ることもあります。

やり方ですが、これはもう簡単。
どれかアクセス解析の本を1冊読んでみて、
その通りにやってみてください。

そうすると、たいていの本で、
「◯◯◯だったらxxxxをしなさい」
と出てきます。

例えば
「Overtureのアクセスを計測してみて、
 必要のないキーワードがあるならば除外キーワードに入れよう」
といった感じです。

そうしたら、後はその本に書いてある通りに直せばいいのです。

ただアクセス解析の本は、診断の仕方は教えてくれるけど、
具体的なサイトの修正方法はどうしても片手落ちになります。

そこで、キャッチコピーを治すのだったらキャッコピーの本を。
ユーザビリティーを治すのだったら、ユーザビリティーの本を読むと良いでしょう。

ただ、一部の本は実践に裏打ちされていなかったり、
教科書的なことが書いてありすぎて使いづらかったりします。

一応、僕のお勧めの本を掲載しておきます。
よかったら読んでみてください。

■まずはやって見たい方


機能を中心に大きなページで説明してくれているので、
とてもわかりやすくお勧めです。

■中・上級者がっちり分析したい方

かなりの良著です。
分析に関して全体的に網羅されています。
切り口は少し機能よりです。

■顧客志向の分析を進めたい方


おそらく今のところ唯一といっていいほど、
顧客志向で書かれた分析指南書だと思います。
お勧めです。

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4.原因を追い詰める

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分析系の目的の最後は「4.原因を追い詰める」です。

これは、多くの人がアクセス解析に期待することですね。
「なんで申し込みが入らないの?その原因を知りたい!」
というニーズです。

でも実はこれ、
アクセス解析に最も期待することなのに、
もっとも難しいことです。

ちょっと考えてみるとわかります。

例えば、あなたのお腹が痛かったとして、
その原因を簡単につかむことはできるでしょうか?

「少し粘り気のあるケーキを食べてしまった」
という悲しい事実があればわかるかも知れません。
(※昨日の僕です)

しかし、本当に原因をつかもうと思うと、
お分かりの通り医者の知識と詳細な検査(人間ドック)などが必要です。

場合によってはさらに再検査も必要でしょう。

WEBサイトも同様で、
ピンポイントで原因を掴むのは思いのほか難しいのです。

アクセス解析に慣れている人であれば、
セグメントや統計の知識などを駆使して
原因のをある程度追い込んでいけます。

しかし、初心者にはなかなか難しいのも実際です。

ですので、逆説的ですが、
初心者の人はあまりここにこだわらない方がいいと思います。

よっぽどのことが無い限り、
今までお伝えした上記の1〜3の分析を行えば、
サイトはよくなっていくからです。

悪いところを知ろうというより、
定型的な作業を繰り返すことで、
よくなっていくことの方が多いのです。

■計測系(3つ)

最後は計測系の目的です。
計測系とは、あなたのサイトのデータを定期的に計測して何かを発見することを指します。

人間の健康に例えていうと、
今までの分析系は、病気を治すためにピンポイントで行う作業に似ています。
例えば、骨が怪しいからレントゲンを撮るなどの一発勝負的な臭いが強いです。

それに比べて計測系は、健康のために体重を”日々”計測するなど、
よりよい健康維持のために行う作業に似ています。

つまり折れ線グラフなどを使う視覚化や、
過去との比較がより大切になる作業です。

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5.サイトのパフォーマンスを管理する(いわゆるKPI管理)

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めでたくサイトが健康体になった後は、
まずはその健康をキープしたいですよね。

その場合、人間だったら体温を測ったりすれば
問題発生に早く気付けます。

WEBサイトも同じようなことができるわけです。

いくつかの重要な指標をピックアップして確認すれば、
日々のサイトの健康管理ができます。

流行り言葉でいえばいわゆるWEBサイトのKPIですね。

でも構えすぎなくて大丈夫です。

ほとんどのサイトで
まず絶対チェックすべきなのはこの3つのデータです。

・アクセス数の増減(但しコンバージョンした媒体毎にみることが重要)
・費やしたお金
・売り上げたお金(もしくは申し込み数)

大体はこの3つを定期的にチェックしていれば、
異常に気づくことはできます。
(毎日とか毎週とか)

また申し込み数を毎月あと30個増やすぞ!
と決めた時には、その達成度チェックにもなります。

つまり目標達成の指標にもなるのです。

実際、僕は長期目標を含めたらもうちょっと細かく観ていますが、
短期目標でいえば、この3つをブレイクダウンしているだけです。

なお、この計測系の目的はお伝えしたように、
折れ線グラフなどの時系列で捉えた方がうまくいきます。

その方が異常に気付きやすいんですね。

では、異常に気づいたらどうするのか?

おわかりですね。
分析して改善すればいいのです。

つまりこの計測系は先ほどの分析系とセットで利用します。
ぜひ試してみてください。

※もちろん、売上げ直結型以外のKPIを設定している方はその指標も確認しましょう

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6.検証する

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だんだんとサイト運営をしてくると
例えば「このボタンは押されているのか?」
といったことが気になり始めます。

もしくは
「このキャッチコピーAとBではどちらがユーザに響くだろうか?」
といったことが気になります。

その場合は、テストデータなどをピンポイントで収集して、
結果を検証しなくてはなりません。

データを”計測”してから効果を分析・検証する。

計測した結果、即サイト改善に繋がることもあるし、
わかった内容を更に分析しなければならないこともあります。

だからこの「検証」は分析系でもいいのですが僕は一応”計測系”に入れています。
※つまり、これはどちらでもあなたのしっくり来る方でいいです。

なお、そういったピンポイントデータを計測したいならば、
多くの場合でちょっとマニアックな計測方法が必要です。

身体を鍛えたいならば体重計だけじゃなく、
体脂肪計を買わなければいけないのに似ています。

新しい計測方法が必要なことが多いです。

ありがたいことに、
アクセス解析の場合、そういった設定は、
何も新しいツールを購入しなくとも、
アクセス解析の本やインターネットで検索すれば出てくることも多いです。

つまりちょっとした設定で取得できたりします。

もし取得したいデータがあるならば、
ぜひ検索してみてください。

例えば「PDFダウンロード数を計測する」と検索してみてください。

設定方法が見つかればラッキーです。
ぜひ取得して計測し、結果を検証してみましょう。

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7.傾向・トレンド把握

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計測系の最後の目的は「傾向・トレンド把握」。

例えば身体を鍛え始めたら、
グラフなどで体重の一年間の変化を見ると楽しいと思います。

また、グラフで見ることで、
例えば12月に体重が増えるのは
忘年会のため仕方がないと割りきって、
対応することもできると思います。

こうやってデータをグラフなどで
見ていくとリズムや流れを把握できます。

こういったリズムや流れを掴むことを
専門用語でいえば、分布やトレンドを掴むといいます。

この時は可視化するというのがとても重要で、
特に折れ線グラフなどで時間の流れをつかみましょう。

時間ごと、曜日ごと、月ごと、四半期ごと、年ごとなど。

またキーワード検索数の季節トレンドなども見ると
気づきが多いですね。

こちらで検索数のトレンドは見ることができます。

▼Google Insight for Search
http://www.google.com/insights/search/

このあたりは統計学が活躍する
アクセス解析の醍醐味の分野なのですが、、

深く考えずに楽しみながら発見するというのがよいと思います。
私のサイトは10時にアクセスが多いな!とか。

月ごとや時間帯や曜日ごとのトレンド把握、
また新規ユーザーやリピータ別は傾向がでやすいので、
ぜひやっておくことをお勧めします。

自分のサイトのトレンドを知ると、
効果的な予算配分ができたりします。

また、どうも不可解なトレンドが現れたら、
「4.原因を追い詰める」という作業に入ります。


以上、アクセス解析ツールでわかること/できること7つをお話しました。

アクセス解析のデータはぱっと見ると数字のラビリンス(迷宮)です。
あたかも健康診断のデータや、経営の数値が分かりづらいのに似ています。
数値が並び過ぎて、見るだけで頭が痛いという。。

こういったデータで迷子にならないようにするには、
自分がそのデータから何を調べるつもりなのか”目的を見失わないこと”だと思います。

何かの参考になれば幸いです。